2013/10/29

レトロトロ~琴電屋島駅~


屋島ケーブルを訪ねた後、屋島への玄関口になっていた琴電屋島駅に寄ってみる。
レトロな風貌が目を引く駅舎は、無人駅ながら堂々の佇まいだ。


ピンク色で塗られた高い天井の待合室には、これまたピンクに塗られた木製ベンチが並ぶ。
窓や壁隅の装飾が独特で、温かみのある空間が広がっていた。


間近で見ることの少ない、1435mm幅のレールが夕焼けに輝く構内。
ゆったりとした時間が流れる、不思議な駅だった。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

屋島ケーブル 登山口駅跡


屋島ケーブルカー跡を訪ねたのは、太陽も赤くなり始めた夕方。
以前は賑わっていたであろう幅の広い道を登ると、突き当りに白い建物が現れた。
これが、かつての屋島ケーブルカー登山口駅である。


廃止から8年余りが経ち、駅舎はすっかり廃墟と化していた。
塗装の剥がれた入り口に掲げられた、屋島ケーブルのロゴが痛々しい。


早速ホームへと向かう。
駅舎は施錠されていて入れないのだが、ホームには両脇から難なく入ることが出来る。
日が傾き薄暗い中、落ち葉と木々に囲まれた発着ホームを見つけた。


車両の残るホーム。
安全上の理由か、山頂駅にいるはずの相方の車両もこの駅に降ろされ、2両一緒になっていた。


車内は最後の営業を終えた時のまま。
何れ訪れるであろう最期の時を、静かに待っているようだった。


営業廃止時には全国で最も古いケーブルカーとして歴史を刻んでいた。
何十年も人々を運んできた痕跡がいたるところに残る。


ふと床に目をやると、子供の書いた絵が落ちていた。
よく見ると他にも数枚落ちている。
どうやら、さよなら運転の時に地元の幼稚園児から贈られたものなのだろう。
最後の運転風景を思い浮かべつつ、その贈り物が醸し出す切ない風景に気持ちが複雑になった。


ホーム端で行く先を眺める。
レールはおろか、架線もまだ健在で、少し整備すれば復活できそうな雰囲気だ。


振り返ってホームを見る。
草木に囲まれ、塗装の剥がれた無骨な車両はどことなく不気味だ。


山頂を望む。
この路線は、途中でカーブしているので、山頂駅を見ることはできない。
なお、少し行くと立入禁止の標識がある。


すっかり錆びてしまった架線柱に裸電球。
まるで、昭和にタイムスリップしたかのよう。


主を失い、油が固まったままの滑車。
そう、実はケーブルカーの命綱である鋼索は撤去済みなのだ。


先ほどの車両の先端には、無残にも切断された鋼索が残る。
しかし、一体どうやって鋼索を撤去し、この車両を登山口駅まで降ろしたのか、とても気になる。


陽がだいぶ傾き、古老を赤く照らす。


階段状のホームに描かれた、タイルの矢印。
今ここに立っても、列車の扉は開かない。


駅横にひっそりと残る水場跡。
蛇口なくなってしまったが、その重厚な作りは独特の存在感だ。


わずかに輝きを保つ手摺が残る改札は、落ち葉で一杯。


琴電屋島駅の駅前通りを屋島方に望むと、山肌に屋島ケーブルの路線がみえる。
列車交換設備や山頂駅付近のトンネルも確認でき、一見現役のようだ。


Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)
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