2013/11/21

きいろのえき ~上総久保駅~


今年も秋を探しに、小湊は上総久保駅にふらり立ち寄り。
朝日に照らされた銀杏の下で、五井行きの列車を待つ2人の高校生。
やらせでも何でもない。この美しい風景は日常なのだ。


勢い良く降りてきたのは、地元の小学生。
温かい秋の日差しに、元気が有り余っているみたいだ。


学生にとって貴重な足となっている線路は、文字どおり通学路となっていた。

関連リンク:2010年11月-上総久保の銀杏

Nikon D800 + AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)[a]
Nikon D3 + AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)[b,c]

2013/11/05

旅情 ~JR下灘駅~


来てよかった。
その風景に、心のすべてが、一瞬奪われてしまった。
何もない、と言うといくらか大げさだが、ただ一面に海が広がる駅、下灘駅。
本当に美しい駅だ。


この駅は、青春18きっぷのポスターに何度も登場し、旅人にとっては聖地的な場所。
実は今回は列車ではなくバイクで来るという、卑怯?な旅足での訪問だった。
ただ、駅ノートを見るとそういった人も結構いるようで、今や鉄旅人以外にもよく知られているよう。
次回は、是非列車でホームに降り立ちたい。


駅の魅力を最大限に引き出しているのが、このホーム屋根とベンチだ。
パッと見ると、ローカル線の駅にはありがちなデザイン。
しかし、そのシンプルなシルエットが醸しだす旅情感はなんとも言葉にしがたい。


近くの踏切の音が鳴り出すと、ディーゼルカーが一両やってきた。
2人の老人がホームへ降りる。
地元の人の足としても根付いているのが、少し嬉しい。


無人の駅舎からも海は目の前。
駅ノート情報によると、半年ちょっと前に改札の手摺が新しくなったらしい。


訪れて初めて知ったのが、駅と海の間に道路があるということ。
結構車の往来があるので、列車のこない時間も少し騒がしい。
しかし、ホームのベンチに座り一人夕日を眺めているとそんなことは気にならない。
刻々と表情を変えていく大自然の風景とのコラボレーションに、すっかり虜になってしまった。


Nikon D800
+ Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)[a,b,c,e,f]
+ AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF)[d,g]

2013/11/01

歴史を刻む駅 ~伊予鉄道 松前駅~


幾人もの人が通り過ぎた石畳の床。
長い年月をかけて削れれたその美しい表面に、朝日に照らされた長い影が伸びていた。


松前駅のことを知ったのは名取紀之氏の編集長敬白で紹介されたことがきっかけだった。
歴史ある伊予国で、今だに古き良き時代の駅舎が残っていることに心を惹かれた。
訪れたのは11月のとある平日の朝。
下灘駅で朝焼けを見てから立ち寄った。


ひと目で年季が入っているとわかる木造駅舎は、おそらく殆どが開業当時のまま。
ローマ字で書かれた駅名票や白い白熱灯の伝統など、魅力的なストラクチャーで溢れている。


駅の開業は1896(明治29)年。
実に120年近くの歴史を持つ、由緒ある駅なのだ。
改札こそ時代の流れで簡易端末が置かれているが、待合室の白い天井からはどことなく明治の香りが漂ってくる。


今では殆ど見られない木枠の窓が現役。
手入れが行き届いていて、古さを全く感じさせない。
美しいの一言に尽きる。


待合室のベンチに置かれた座布団。
暖かい朝日に照らされた、窓枠の細い影が映っていた。


入り口の柱にも注目。
芸術のようなテーパ加工に、当時の職人のこだわりが伝わってくる。
見れば見るほど魅力的な駅だ。


例に漏れず徐々に近代化が進んでいるという伊予鉄道。
是非この駅舎だけは、このままの形で長く後世に伝えて欲しいものだ。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

2013/10/29

レトロトロ~琴電屋島駅~


屋島ケーブルを訪ねた後、屋島への玄関口になっていた琴電屋島駅に寄ってみる。
レトロな風貌が目を引く駅舎は、無人駅ながら堂々の佇まいだ。


ピンク色で塗られた高い天井の待合室には、これまたピンクに塗られた木製ベンチが並ぶ。
窓や壁隅の装飾が独特で、温かみのある空間が広がっていた。


間近で見ることの少ない、1435mm幅のレールが夕焼けに輝く構内。
ゆったりとした時間が流れる、不思議な駅だった。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

屋島ケーブル 登山口駅跡


屋島ケーブルカー跡を訪ねたのは、太陽も赤くなり始めた夕方。
以前は賑わっていたであろう幅の広い道を登ると、突き当りに白い建物が現れた。
これが、かつての屋島ケーブルカー登山口駅である。


廃止から8年余りが経ち、駅舎はすっかり廃墟と化していた。
塗装の剥がれた入り口に掲げられた、屋島ケーブルのロゴが痛々しい。


早速ホームへと向かう。
駅舎は施錠されていて入れないのだが、ホームには両脇から難なく入ることが出来る。
日が傾き薄暗い中、落ち葉と木々に囲まれた発着ホームを見つけた。


車両の残るホーム。
安全上の理由か、山頂駅にいるはずの相方の車両もこの駅に降ろされ、2両一緒になっていた。


車内は最後の営業を終えた時のまま。
何れ訪れるであろう最期の時を、静かに待っているようだった。


営業廃止時には全国で最も古いケーブルカーとして歴史を刻んでいた。
何十年も人々を運んできた痕跡がいたるところに残る。


ふと床に目をやると、子供の書いた絵が落ちていた。
よく見ると他にも数枚落ちている。
どうやら、さよなら運転の時に地元の幼稚園児から贈られたものなのだろう。
最後の運転風景を思い浮かべつつ、その贈り物が醸し出す切ない風景に気持ちが複雑になった。


ホーム端で行く先を眺める。
レールはおろか、架線もまだ健在で、少し整備すれば復活できそうな雰囲気だ。


振り返ってホームを見る。
草木に囲まれ、塗装の剥がれた無骨な車両はどことなく不気味だ。


山頂を望む。
この路線は、途中でカーブしているので、山頂駅を見ることはできない。
なお、少し行くと立入禁止の標識がある。


すっかり錆びてしまった架線柱に裸電球。
まるで、昭和にタイムスリップしたかのよう。


主を失い、油が固まったままの滑車。
そう、実はケーブルカーの命綱である鋼索は撤去済みなのだ。


先ほどの車両の先端には、無残にも切断された鋼索が残る。
しかし、一体どうやって鋼索を撤去し、この車両を登山口駅まで降ろしたのか、とても気になる。


陽がだいぶ傾き、古老を赤く照らす。


階段状のホームに描かれた、タイルの矢印。
今ここに立っても、列車の扉は開かない。


駅横にひっそりと残る水場跡。
蛇口なくなってしまったが、その重厚な作りは独特の存在感だ。


わずかに輝きを保つ手摺が残る改札は、落ち葉で一杯。


琴電屋島駅の駅前通りを屋島方に望むと、山肌に屋島ケーブルの路線がみえる。
列車交換設備や山頂駅付近のトンネルも確認でき、一見現役のようだ。


Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

2013/09/17

朝焼けと第2五之町踏切


各地に甚大な被害をもたらした台風18号。
関東地方が暴風域から抜けた16日夕方には、とても綺麗な夕焼けが見れたそうだ。
しかし、自分はそんなことも知らずに爆睡。
なんとなく心残りだったので、深夜に家を抜け出し朝焼けを待つことにした。


暗闇を右往左往しながら決めたポイントは、かの有名な第2五之町踏切。
美しい空のグラデーションの下、小さな踏切は列車がいなくても良い雰囲気。
ちょっと「ゆる鉄」ぽくなったかな。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

2013/09/10

与板駅にて -越後交通 長岡線-


なんとなく鉄道駅の佇まいが残る、旧与板駅舎。
今は運送会社の事務所として余生を過ごしている。
現役時代の写真が見つからないので、元はどういった姿かわからない。
きっと細い柱の軒下には、信号てこが並んでいたのだろう。


駅舎と駅構内跡を望む。
街外れに作られた駅にしては、結構な広さだったようだ。
今は盛土がされ駐車場と化しているが、土の中には今だレールが残っているものと思われる。


寺泊方を望む。
駅舎からかなり離れたところに、貨物用ホームが残る。
旅客ホームは跡形も無い。


駅舎前はトラックの回転場となっていた。
その下には、アスファルトで生き埋めになったレールが、わずかながら顔を出していた。
数年前までは、ここから西長岡方にかけてレールが敷設されたまま放置され、良い雰囲気になっていたらしい。
が、今は立派な遊歩道に変貌してしまった。
ここに鉄道があったことは、街の人々の記憶から徐々に消えようとしている。


与板駅から少ししたところにある、小さな踏切跡。
夏空の下、ボロボロに錆びた機器箱が寂しげに残っていた。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

2013/09/02

夏空の記憶 -越後交通 長岡線-


空の青と草木の緑のコントラストが美しい、とある川沿いの道。
それを横切る2本の筋。
越後交通 長岡線の踏切跡だ。
以前はいたるところに残っていたレールも撤去が進み、こうした遺構も少なくなってしまった。


夏草が侵食する線路跡。
ミイラ化した枕木が整然と並ぶ。
列車が走っていた頃を想像しながら、ゆっくりシャッターを切った。


線路跡近くに廃校舎があった。
草生した校庭と、色褪せたコンクリート校舎に廃心がときめく。


この学校は地域の集会場として余生を過ごしている。
校庭で遊ぶ児童を見守っていたであろう時計。
錆びきった味のある廃校シンボルになっていたが、まだしっかりと稼働しており、ちょっと驚き。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)
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