2013/11/01

歴史を刻む駅 ~伊予鉄道 松前駅~


幾人もの人が通り過ぎた石畳の床。
長い年月をかけて削れれたその美しい表面に、朝日に照らされた長い影が伸びていた。


松前駅のことを知ったのは名取紀之氏の編集長敬白で紹介されたことがきっかけだった。
歴史ある伊予国で、今だに古き良き時代の駅舎が残っていることに心を惹かれた。
訪れたのは11月のとある平日の朝。
下灘駅で朝焼けを見てから立ち寄った。


ひと目で年季が入っているとわかる木造駅舎は、おそらく殆どが開業当時のまま。
ローマ字で書かれた駅名票や白い白熱灯の伝統など、魅力的なストラクチャーで溢れている。


駅の開業は1896(明治29)年。
実に120年近くの歴史を持つ、由緒ある駅なのだ。
改札こそ時代の流れで簡易端末が置かれているが、待合室の白い天井からはどことなく明治の香りが漂ってくる。


今では殆ど見られない木枠の窓が現役。
手入れが行き届いていて、古さを全く感じさせない。
美しいの一言に尽きる。


待合室のベンチに置かれた座布団。
暖かい朝日に照らされた、窓枠の細い影が映っていた。


入り口の柱にも注目。
芸術のようなテーパ加工に、当時の職人のこだわりが伝わってくる。
見れば見るほど魅力的な駅だ。


例に漏れず徐々に近代化が進んでいるという伊予鉄道。
是非この駅舎だけは、このままの形で長く後世に伝えて欲しいものだ。

Nikon D800 + Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF)

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